Nagasaki Mindfulness Center "Kuu"

マインドフルネスで不安は減るのか

※当センターのマインドフルネスプログラムは医療行為ではありません。精神疾患のあるかたは、一人でマインドフルネスの訓練を行うのは避け、まずはお医者様にご相談いただくことをお勧めします。

マインドフルネスに取り組んでみたいと思う方の中には、普段抱えている不安をどうにかしたい、とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。具体的な原因がはっきりしていて発生する不安もあれば、もっと漠然とした不安を抱いている方もいらっしゃいます。
そして、マインドフルネスをやることにより、不安が消えるのか?という質問をいただくことがあるため、今回はこのことを取りあげてみます。

まず、結論めいたものから申し上げると、マインドフルネスをしても不安自体は無くならない、と考えることをお勧めしています。「結論めいた」であるとか、「と考えることをお勧めしています」と、何かすっきりした物言いになっているのにはわけがあります。それをこれから解説していきます。

まず、不安を消すことを期待してマインドフルネス瞑想を行うケースを想定します。呼吸や身体感覚に意識を向ける練習をしていったとき、不安が消えるかというと、劇的な変化がおきて不安が全くなくなる、ということはなく、やはり不安が湧いてきます。この時、マインドフルネス瞑想により不安を消すことへの期待が高いと、不安が湧いてくることに失望や、時には怒りを覚え、そして、不安が消えないことにまた不安を覚える結果になります。
思考や感情は、追い払おうとするとまた戻ってくる性質があります。よく出てくる話で、シロクマの実験があります。「1分間、目をつぶって、シロクマのことをなるべく思い出さないようにしてください」と言われたら、多くの人は、まずシロクマと言われた時点でシロクマが思い浮かび、考えてはいけないと思うほどまたシロクマが戻って来しまうのです。
不安についても、追い払おうとすると、また不安が戻ってきて、戻ってきたことにまた不安を覚えることになります。
それでは、どうするとよいのか?マインドフルネスにおいては、不安を消そうとするのではなく、不安に寄り添う、闘わない、居場所を与える、不安を不安のまま受け入れる、味わう、というような態度を取ります。
そして、不安と向き合い、じっくり観察することで、不安が形を変えていくのがわかってくるようになります。一つの方法は、不安を感じるときの身体感覚に目を向けることです。体への現れはさまざまですが、胸のあたりが締め付けられるとか、頭の奥の方がジンジンするとか、いろいろな反応があるでしょう。その「痛み」を観察し、その痛みが変わらず一定の強さで働いているのか、それとも変化しているのかを観察してみます。強さと長さを観察してみるのです。ただ観察してみると何かに気づくはずです。

ここで結論を書くと、却ってその結論にたどり着けないという難しさがあるため、今回は結論を書くことを差し控え、次回以降に続きを書いていきます。