Nagasaki Mindfulness Center "Kuu"

マインドフルネスの基本ロジック

マインドフルネスは、今ここに意識を向ける心の態度です。日本マインドフルネス学会は、マインドフルネスを「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」と定義しています。

私たちは、過去に起きた取り返しのつかないことを後悔したり、それについてくよくよしたりして生きています。また、まだ起きていない将来のことに不安や恐れをいただいています。つまり、ストレスの素は、過去や未来のことであり、今ここでおきていることではないのです。そして、私たちがコントロールできるのは、今この瞬間しかありません。行動によって変えられるのは今この瞬間だけなのです。

そして、今この瞬間に集中するために、呼吸や身体感覚を錨として用います。

例えば、過去にあった嫌な出来事を思い出した時、これを思い出さないようにしようとすると、却ってそのことが頭から離れない、という経験をしたことはないでしょうか?そのようなときにどうするか。嫌な出来事を追い払おうとせず、ただ呼吸を数えてみます。吸ってはいて1回を10まで数えてみます。呼吸を10回数えるのは簡単そうに感じるかと思いますが、結構集中力を要します。そして、少なくとも集中して呼吸を数えている間は、先ほど頭からこびりついて離れなかった嫌な出来事のことはどこかに行っていたことでしょう。

これが簡単なマインドフルネスのロジックです。実際には、マインドフルネスは、集中だけではなく、思いやり(慈悲)も大事な要素となりますが、最初のうちは、呼吸に意識を向けることにより、自分を悩ませる思考から少し距離を置くことができる、ということがわかればよいかと思います。

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仏教的な説明では、ネガティブな思考に餌を与えるとその思考は大きくなる、とされます。気にすれば気にするほど思考は膨らんでいきます。また、MBCT(Mindfulness-Based Cognitive Therapy)においては、呼吸に意識を向けることで、ネガティブな思考が育つキャパシティを奪うと説明されます。同じことを違う立場から説明しています。

次回以降は、マインドフルネスで用いられる考え方などについて、より詳しく説明していきます。