※マインドフルネスは医療行為ではありません。精神疾患のあるかたは、一人でマインドフルネスの訓練を行うのは避け、まずはお医者様にご相談ください。
前回はマインドフルネスで不安が減るのか?という問いに対し、不安な気持ちや、それにより生じる身体感覚をただ眺めることをお勧めしました。
そして、そこでは、結論をあえて書きませんでした。今回はその続きを説明していきます。
結論から申し上げると、狙いとしては、ただ眺める、不安を覚えている自分の状態に気づくことにより、結果的に、副産物として、不安が減っていく、ということになります。
ただし、お気付きかもしれませんが、そのような態度自体、大きく見れば不安を減らそうとしている行為であり、前回書いたような「不安を減らそうとすれば不安はまた戻ってくる」という趣旨に反することになります。そのため、前回は結論部分でこのことを書くのを避けました。
しかし、前回の最後には、まずは不安を観察することをお勧めしており、この文章をお読みの方はその実践をしていただいたという前提で話を進めることにします。不安を観察するとどうなるのか?不安にはあまり実態がないということがだんだんわかってくるのではないかと思います。例えば、空の雲は、遠くから見ると実態があるものですが、間近で見ると水蒸気の集まりにすぎません。近くで見れば見るほど、実は実態の乏しいものなのです。不安もそれに近いものです。遠くから見ると力があるように見え、それから逃げよう、それを追い払おう、とすると、却ってその力を増してきます。しかし、近くで虫眼鏡を使って見るように観察すると、不安のどの部分が実態で、どのように自分に害をなすものか、意外と見つけられないと感じたのではないでしょうか。
最初から不安を取り除こうという態度では、却って不安を大きくしてしまうため、ただ観察することによって、副次的な効果として不安が減っていく、ただしそれを狙ってはいけない、というのが結論になります。この文章だけ読むと矛盾しているようなので、これを理解するにはとにかく体験するしかありません。講師からロジカルに教えてもらうのではなく、体験して、自分で気づくプロセスがマインドフルネスにおいては非常に重要な要素となります。