10月18日より始まりましたマインドフルネス8週間も、第5回目のセッションを終えました。参加者の方々には毎週2時間のセッションを受講いただき、その間の6日間は、各自毎日のホームワークに取り組んでいただいています。
また、リトリートにおいても、終了後、21日間の自主練習をお願いしております。
マインドフルネスのトレーニングにおいては、自らの体験、練習が重視されます。その取り組みについて、ジョンカバットジン博士の説明を参考に、考えてみます。
セッション中の瞑想や、練習中の瞑想を通じて、「練習がうまくいかない」という声を聴くことが良くあります。
ジョン・カバット・ジン博士は、著書において、「マインドフルネス瞑想法の基本的な態度」として、以下のようなことを上げています。(『マインドフルネスストレス低減法』ジョン・カバット・ジンの記載項目を長崎マインドフルネスセンターが要約及び解釈)
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- 自分で評価をくださないこと
- 私たちは、何かしらのインプットに対し、評価を下し、「いい」「悪い」「快」「不快」といったカテゴリー分けをする傾向にあります。これが自分の気づかないうちに、機械的に、自動的になされているのが通常です。この自動反応をやめ、あるがままに出来事を眺めます。
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- 忍耐づよいこと
- 結果が早く出てほしいという焦りであったり、不快から逃れたという気持ちであったり、自分を動揺させる思いが湧いてくるのが普通です。結果を求めすぎると、却って求めるものが遠のいてしまうのがマインドフルネスの難しさでもあります。結果を焦らず、ただ練習をコツコツ続けて見ましょう。
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- 初心を忘れないこと
- 練習や、物事に接する時に、それが初めてのものであるかのような態度で接してみます。過去に行った練習を再現したいという期待は「あるがままに見る」ということを妨げますし、、また、物事に対する時に先入観を持ったうえで見ると、本当の姿を見誤ることがあります。
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- 自分を信じること
- 物事をありのままに見る、ということに対し、先生や他の人の意見を頭から「正しいもの」という前提を置くと、やはり物事を見誤ることがあります。最終的には自分のことは自分にしかわからないこともあるので、自分自身の感覚を大事にする必要があります。
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- むやみに努力しないこと
- 瞑想のポイントは、繰り返しになりますが、物事をあるがままに見ることであり、感じ方をコントロールすることではありません。理想像を強く持ちすぎて、努力の気持ちが強すぎると、却って執着が生まれて集中しづらくなることがあります。毎日の練習でも、努力しすぎると、練習をできなかった時に、がっくり来てしまいます。ほどほどにコツコツ続けましょう。
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- 受け入れること
- 私たちは今ここで変えることの出来事に対してもクヨクヨしたり不安に思ったりすることがあります。言い換えると不安定感のようなものです。そのような不安定感を、あるべき姿ではない、と思うことにより、さらに不安が増すことがあります。マインドフルネスにおいては、不安定感に寄り添う態度が重要となります。
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- とらわれないこと
- 言い換えると手放すことです。いろいろな思考は頭の中に浮かんできます。あとは、これを如何にうまく手放すかがポイントです。自分の思い描いたものからかけ離れた状況に陥った時、私たちはそれに対して不満を抱きがちですが、不満を抱く前に、自分が理想状態に執着していることに気づき、どんどんと手放してみましょう。
当センターでは、練習に臨む態度について、「頑張りすぎず、期待しすぎず、コツコツと」とお伝えしています。大きな方向性として目指すところを持っているのは良いとして、毎日の練習の都度収穫を得ようとすると、期待が先行し、却って「あるがままに物事を見る」という態度から遠ざかってしまいます。
まずは力を抜いてできる範囲から練習をしてみましょう。
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参考文献:『マインドフルネスストレス低減法』(著)ジョン・カバット・ジン、(訳)春木豊 北大路書房